ファッションとコスチューム
クリスチャン・ラクロワは、1988年にプレタポルテコレクションでデビューしました。
しかし評価は芳しくなく、「ラクロワは働く女性のニーズを理解していないようだ」という辛口評価でした。
確かに彼が培ってきた感性は、歴史的・民俗学的なものから来ていて、働く女性という視点で洋服を作るのは難しかったのかもしれません。
しかし、プレタポルテがファッションの主流の時代だからこそ、彼はプレタポルテも発表する必要に迫られたのだと思います。
そこでの評価はさておき、彼は「最も新しいクチュリエ」として不動の地位を得て、それから少しずつファッションの世界で手を広げていきました。
1990年には初めて香水を発表。
1994年に、若者向けカジュアルラインの「バザール」、1995年にリネンとタオルのコレクション、そして1996年にはデニムラインを発表しました。
クチュリエであるクリスチャン・ラクロワは、プレタポルテ目線でも様々なことを試みていたのです。
その一方で、彼は幼い頃からの夢も叶えていました。
コスチュームデザイナーです。
1987年、彼がクチュリエとしてのデビューを飾った年、クリスチャン・ラクロワはパリのオペラ座で上演された「翼に賭ける命」で衣装を手がけ、コスチュームデザイナーとしても地位を確立しました。
それ以降、コンスタントに舞台衣装の制作を手がけるようになり、気づけば彼は、舞台衣装の世界でも成功を手にしていました。