最後のコレクション

2009年、ファリック・ファッション・グループ(FFG)は、メゾン「クリスチャン・ラクロワ」の売却を発表しました。

ところが、買収に名乗りを上げる企業があまりに少なく、かつての所属先であるLVMHや、LVMH同様のファッション系コングロマリット「PPR」なども、クリスチャン・ラクロワの買収に興味を示しませんでした。

今後のクリスチャン・ラクロワが心配される中、ラクロワは2009年7月、最後のオートクチュールコレクションを発表しました。

ここで誤解しないようにしなければならないのは、ラクロワはビジネスで失敗したものの、人々には愛されていた、ということです。

ラクロワのことを誰もが「国宝級の天才」と呼び、多ジャンルから様々なオファーがラクロワの元には舞い込んできました。

元シャネルの専属モデル、イネス・ド・ラ・フレサンジュは「クリスチャン・ラクロワは再びオートクチュールにスポットライトを当ててくれた最高のクチュリエ」と賞賛し、コレクションのフィナーレでは「ラクロワ・フォーエバー」のメッセージと共に、ラクロワを愛する全ての人たちが涙に暮れました。

この時、ラクロワはアトリエに残っていた素材でドレスを作り、シューズはロジェ・ヴィヴィエが無償で貸し出し、モデルもノーギャラでランウェイを引き受けました。

クリスチャン・ラクロワは、沢山の人に愛され、見守られ、この2009/10秋冬コレクションをもって、オートクチュールから完全に撤退しました。

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