再出発
クリスチャン・ラクロワは、2009年にあるラジオ番組で、自身のビジネスがうまくいかなくなることをうっすら予感していたという内容のことを話していました。
「クリスチャン・ラクロワのビジネスがスタートしてすぐに気づいたんだ。僕自身のアートヴィジョンと金銭面の現実的問題の間で大きな食い違いがあったってことをね。」
ラクロワは、自分のビジネスの能力に最初から限界を感じていたようです。
そして、果敢に金銭面での苦悩を乗り越えようと彼なりに努力しましたが、結局うまくいかなくなりました。
しかし、ラクロワはあくまで「クチュールデザイナー」というポストを退いただけで、そのほかではむしろやるべきことに溢れていました。
ラクロワはコレクションを引退しても、コスチュームデザイナーとして服飾に携わっており、オートクチュールビジネスを退いた2009年にも、パリのオペラ・コミック座で上演されたオペラ「フォルチュニオ」の衣装を担当しました。
また同年には、パリの国鉄「SNCF」の制服をデザインし、話題になりました。
ラクロワはコレクション引退後は総合的な意味での「アーティスト」に徹することになり、彼にとってビジネスを気にせずにあらゆることにチャレンジできるいいチャンスになったのかもしれません。
尚、メゾン「クリスチャン・ラクロワ」は、ファリックグループの元で再建計画がなされ、チーフデザイナーにサシャ・ワルコフが就任しました。