華麗なるデビュー
クリスチャン・ラクロワは、1987-1988年のシーズンで、初めてオートクチュールコレクションを発表しました。
そしてそれは、ファッション界に突如現れたファンタジーに満ち溢れたクチュリエである彼の個性を見事に印象付けるものでありました。
彼は、デビューしてから一貫して「トレンドとは縁を切る」「時代にとらわれないで作品を作る」と名言していました。
彼にとって、その時代に何が受け入れられているのか、どんなスタイルが評価されるのか、などは関係ありませんでした。
彼は彼の描きたい世界を創るのみです。
クリスチャン・ラクロワのルーツは、南仏文化にあります。
ですから、南国人らしい華やかでカラフルなドレスが特徴で、南仏・地中海のファッション史や民族衣装の要素をショーではふんだんに取り入れました。
彼が情熱を感じるあらゆるものがごちゃ混ぜになった独特のクチュールスタイルは、伝統に忠実で懐古主義的でありながら全く新しく、ほかのどのデザイナーも決して創らないタイプのものでした。
彼の感性を込めたショーでの作品は喝采を浴び、1987年にはCFDA(米国ファッションデザイナー協会)の最優秀外国人デザイナーに選出され、1988年には再びフランスでデドール賞を受賞しました。
こうして、メゾン「クリスチャン・ラクロワ」のデザイナーとして、彼はファッション界に華麗に登場したのです。